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「お前の言いたい事が分からない」
優弥の言いたい事がいまいち分からなかった。
でも分かることがある---要は俺を責めているのだ。
確かに俺は美月を傷つけたかもしれない。
でも……
だからこそ俺は美月をこれ以上傷つけないために側を離れた。
それがどれだけ辛かったか知らないくせに、今になって責めるようなことを言わないで欲しいと思った。
確かに優弥は美月の弟で姉を心配する気持ちも分かるが、俺にも俺の事情がある。
現に今も美月に見合うだけの大人の男になりたくて頑張っている。
あと少し……
あと少しで……
自分の店を持つことができそうなのだ。
「目に見えるものばかり形にしても駄目だって事だよ。お前は何も分かっちゃいない」
俺を睨むように見据えながら深いため息を溢す。
何故だろう……
ぼかすような優弥の言葉は今ひとつ理解に苦しむが、何故か凄く重みを感じさせられた。
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