243人が本棚に入れています
本棚に追加
目に見えるものばかり―――店のことを言っているのだろうか。
もし、そうなら今まで俺が頑張ってきた事が間違っていると言っていることになる。
「そんな遠回しに言わないでハッキリ言ったらどうなんだ」
さすがに今のはキツイ。
動揺を隠しきれず、顔は強張り声は微かに震える。
「本当に分からないのか？」
少し馬鹿にしたように鼻で笑いながら俺を真っすぐ見てきた。
確かに口角は上がり笑っているようにも見えるが、確実に目だけは笑っていなかった。
こんな優弥の顔を見たのは初めてだった。
いや……
前に一度だけ見た事があったが、それがいつだったかまでは思い出せない。
言いたい事の意味は分かるが、その真意までは読み取ることができず俺は口をきつく結び黙り込む。
「お前は考えた事あるか？残された者の気持ちを……」
俺を睨む様に見つめながら優弥は低く重い口調で俺に投げかけてきた。
その言葉は俺の胸に深く鋭く突き刺さり、同時に抉るような衝撃を与えた。
.
最初のコメントを投稿しよう！