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「---残された者?」
誰の事を言っているのか分かったが、その言い方がふに落ちない。
でも俺がそういうつもりではなくても優弥からしたら……
美月からしたら……
俺の行動はそう感じさせてしまっていたのかもしれないって思った。
「分かったって顔だな」
今自分がどんな顔をしているのか分からないが、何も言わなくても優弥に分かってしまったようだ。
「美月のことを言ってるんだろ?でも残された者って言い方は適切じゃないような気がするけど……」
そんな言い方をされたら、まるで美月が俺の事を……って期待してしまいそうになる。
---そんなわけないのに。
美月にとって俺は子供で……
弟みたいなもので……
いくら近くに居ても決して恋愛対象にはならない相手。
優弥は呆れたように深いため息をつくと立ち上がり、カウンターに数枚の札を置く。
「そうかな?もしかしたら、そう思っているのはお前だけかもな……」
意味ありげな言葉を残し、そのまま店を出て行ってしまった。
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