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一瞬、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなってしまった。
ただただ呆然とドアの向こうに消えてゆく優弥の後姿を見送る。
でもドアが閉まりきる音に我に返り、慌ててカウンターを飛び出し後を追う。
右か左か……
辺りを見回し優弥の姿をさがすが、幸い人通りが少なくすぐに見つけることができた。
「待てよ!」
駆け寄ると優弥の足を止めるように肩を思いっきり掴む。
一瞬、掴んだ優弥の肩がピクリと反応し、思いっきり振り払われるかと構えたが、予想外にもアッサリ足を止め振り返り俺を見てきた。
---ワザと俺が後を追ってくるのか試したのだと気づいた。
昔からコイツにはそういうところがあるのを忘れていた。
昔から何度も何度も同じ目にあっているのに、また同じ手に引っかかってしまった自分が情けなく感じる。
「待ったけど、何?」
不敵に笑みを浮かべた勝ち誇った顔が憎たらしい。
「わざと俺を煽るような真似しないでハッキリ言えよ」
優弥の挑発にこれ以上のらないように気をつけながら言葉を返す。
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