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「じゃあ言わせてもらうけど美月の気持ちを考えたことあるか?」
俺を真っ直ぐ見据えながら優弥は吐き捨てるように言葉を口にした。
---美月の気持ち?
その言葉に頭の中にあの時の美月の顔が浮かぶ。
「やっぱりお前には分からないみたいだな……」
呆れたように深いため息をつきながら肩に置かれたままだった俺の手を静かに払いのける。
「お前はいいよな、あの後いなくなったんだから。でも残された美月の事は考えたことあるか?」
優弥の様子が明らかにいつもと違う。
冗談でもハッタリでもなく、美月に何かあったのだとすぐに分かった。
「俺が家を出てから美月に何があったんだ?」
いつもみたいに誤魔化しかわされない様に優弥の腕を強く掴む。
「しばらく彼氏に……元彼にストーカーみたいに付きまとわれたんだ」
衝撃の事実に驚きながら自分の耳を疑った。
あの時アイツはもう美月に付きまとわないって俺に誓った。
だから俺は安心して出たのに……
あんな奴の言葉を信じた俺がバカだったということか。
奴の歪んだ笑い顔が目に浮かび怒りに身体が震え、俺ややりどころのない怒りを堪えるように手に力がこもる。
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