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「うん……来ちゃ駄目だった?」
自分が思っているよりも言葉がキツいのか、俺の言葉にしゅんとしながら様子を伺ってくる。
自分でも言葉数が少なく、相手に気持ちが伝わり難いと思う。
「や、そんなことないけど。社交辞令だと思ってたから本当に来てくれるなんて思ってもいなかったから……」
でも変に誤解されたくなくて、自分なりに言葉を選び気持ちを伝える。
「酷い、衛くんに社交辞令なんてしない……」
俺の言葉に驚き、ムッとした顔を見せる。
「ごめん、どーぞ」
美月がそんな事を言うヤツじゃないって事を知っていたはずなのに、疑ってしまった事を謝り、カウンターの端の席を勧める。
大体、常連や2人連れでカウンター席は埋められ唯一、空いていたのがソコの席。
隣の客を気にしつつ座る美月の慣れてない感じが新鮮で可愛いと思ってしまった。
可愛いなんて口に出して言ったら怒られるかな?---そう思い1人笑いながら口には出さず心に留めておく。
ずっと小さいときから優弥同様、俺のことも実の弟のように可愛がってくれ、面倒を見てくれていた美月。
ガキの頃はあんなに歳の差を感じ、コンプレックスに思っていたことが今は嘘のように思えてしまうから不思議だ。
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