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信じられないが確かに携帯には、しっかりと美月の名前が表示されている。
未だに動揺を拭いきれないが、このまま携帯を見つめたまま出ないわけにはいかない。
「---はい……」
躊躇いながら恐る恐る電話に出ると
『あ、衛くん!?今日はというか昨日もごめんね。あんまり記憶はないんだけど、何か迷惑掛けまくったみたいで』
出た途端に焦った様子で捲し立てるように話しだす美月。
その声で俺以上に動揺している美月の姿が目に浮かび、可笑しくなり徐々に冷静さを取り戻してきた。
「美月?」
分かっているのにワザと分からないうフリをして確認してみる。
『あ、うん。ごめん、勝手に優弥から番号聞いて急に掛けておいて名前も名乗らないで……』
予想通りの美月の慌てぶりに、思わず噴き出しそうになる。
ソレをギリギリのところで堪え、暫し美月との会話を楽しむ。
当の美月は動揺し過ぎているのか、なかなか会話が繋がらず1人あたふたしている。
「いいよ、気にしないで。仕事柄、慣れてるから」
これ以上、美月を苛めては可哀想だと軽く笑い流す。
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