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「本当に、この店だよな……」
美月に指定された店に先に着いた俺は席についても尚、信じられずにいた。
確かに店には女の子も居るし、料理も美味しいがココは居酒屋。
別に居酒屋を否定するわけではないが、まさか美月が居酒屋を指定してくるとは思ってもいなかった。
勝手な想像だが、もっとこ洒落た店をイメージしていただけに、そのギャップに戸惑いを感じてしまう。
「ごめん、誘っておいて私の方が遅かったね」
入り口近くに座ったのが良かったのが、探すことなく俺を見つけることができたようだ。
「いや、俺も今来たところだから」
待たせては悪いと走ってきたのか少し息が荒いのが分かった。
「本当?なら良かった」
ホッとした表情を見せ、俺の前の席に腰を下ろす。
美月が相手ならいくら待っても苦にならないって思ってしまった俺はバカだろうか---そんなことを思いながらメニューに手を伸ばす。
そして美月の方を向けるようにメニューを開いたはずが、一瞬にして美月の頭で遮られてしまった。
「ごめんなさい!!」
一瞬、何が起こったのか分からなかったが、すぐに美月が周りの目を気にすることなく俺に深々と頭を下げたのだと分かった。
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