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「だから気にしなくていいって……」
頭を下げる美月を宥め、微かに笑い返す。
「でも……」
ほんの少し強張っていた表情が緩んだ気がしたが、まだ気にしているようだ。
「昨日のことは優弥に頼まれてのことだから美月は気にすることないよ。それより腹減ってるんだけど、早く注文しよ」
言い終わるのとほぼ同時に俺は軽く手を上げ店員を呼ぶと順に注文していく。
「美月これ平気?」
テンポよく注文しつつ時折、意見を求め美月の様子を伺う。
最初は戸惑いを見せていた美月も少しずつ自ら食べたいものを店員に注文しだし、いつもの美月へと戻っていった。
「美月は何飲む?」
でも飲み物を尋ねると、また少し表情を曇らせ
「ウーロン茶で……」
バツ悪そうにチューを指差しながら小さな声で言った。
「だな。じゃあ生中とウーロン茶で」
昨日の事を気にしてか、それとも余程お酒に懲りたのか。
もしくは両方なのかもしれないが可哀想だと思う反面、美月に優位に立てていることが嬉しかった。
昔はあんなに遠い存在いだったのに、今は近い---そう感じてしまった。
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