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できるなら優子ちゃんの"お願い"が流れてしまえばいいのに、って思っていた。
でも、そんなに甘くはなかった。
優子ちゃんの"お願い"は、それから数日後に涙と共にやってきた。
--…
-…
その日は朝から、どんよりと厚い雲に覆われた嫌な天気だった。
昼間は降りそうで降らない、綱渡りのような微妙な天気で何とかもってはいたが、ちょうど店を開く時分から土砂降りの雨が降り出してしまった。
「嫌な感じだな……」
せっかくの週末に客足が鈍るな、とため息が漏れる。
案の定、暇とまではいかないが、週末とは思えない客の入りようで時間も早くから客足が途絶えてしまった。
「早仕舞いしてやろうかな……」
ボヤきたくもなる。
客足は途絶えるわ。
そのうち来る、きっとそのうち来る、と思っていた美月は一向に来ないわ、で俺的には踏んだり蹴ったりな面白くない状況だったのだ。
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