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「起こさなきゃ……」
まるで自分に言い聞かせるかのように、もう一度口にする。
―――コレで何度目だろう……
さっきから、この繰り返しで美月を起こすことができない。
あまりに気持ち良さそうに寝息をたてる美月を起こすのが可哀想に思えたからだ。
いや。本当は、もっと……
もう少し近くで美月の寝顔を見ていたかっただけ。
でも時間は止まるわけではなく、刻々と時間は過ぎてゆくばかり。
今度こそはと意気込みかけた矢先に邪魔するようにインターホンが鳴る。
また美月を起こすタイミングを逃すハメになった。
「―――来たか」
朝早い来客にも関わらず、俺は驚くことなく玄関へと向かった。
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