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「んっ……、優弥?」
優弥の声に、ゆっくりと美月が眠りから目覚めてゆく。
「ほら、早く起きて準備しないと遅刻するぞ」
まだ頭がボーっとしている美月に一方的に話しながら、持ってきた着替えを押しつけるように渡す。
「え!?ココって……」
徐々にハッキリしてくる頭で一生懸命、現状を把握しようとキョロキョロと辺りを見渡しだす。
そして優弥の後ろに立っていた俺に気づくと美月は物凄く驚いた顔をした。
「---おはよう」
予想通りの反応を可笑しく思いながらも、ちょっと複雑な気持ち。
いつかは……
こんな風に美月と朝の挨拶を交わしたいと思っていたが、ちょっと違う。
「おはよう……」
美月も戸惑いながらソレに答えながら、さり気なく乱れた髪を直し起き上がる。
「ほら!挨拶はいいから急げ!本当に遅刻するぞ」
全く慌てる様子のない美月に優弥は声を荒立て、もう一度急ぐように促した。
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