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益々深まる疑惑に思い悩んでいると、洗面所のドアが静かに開き美月がひょっこりと顔を覗かせ
「ごめん、ドライヤーってある?」
やや引きつった笑いを浮かべながら遠慮がちに聞く。
「ああ。洗面所の右側の棚の上に置いてあるはずだけどなかったか?」
「あ、あった。ごめん、借りるね」
よほど焦ってたのか、あんなに目のつきやすい場所にあるにも関わらず見落としてしまったようだ。
「見た感じ特に変わった様子はないよな」
美月の挙動不審ぶりが可愛くて笑いそうになる俺をよそに優弥が冷静に分析する。
「だよな……」
今の美月を見ていると昨日の事が嘘だったかのように思えてしまう。
「今は時間もないし、今日帰ったらそれとなく聞いてみるわ。あ、お前は今日休みだったな」
優弥はダルそうに大きな欠伸を一つし、思いっきり伸び肩をパキパキと鳴らした。
「ああ。とりあえずお前たちが帰ったら少し寝るわ」
美月が居たせいで一睡もできず、完全な寝不足状態。
少しでも目を瞑れば……
もしくは横になったら、すぐに深い眠りに落ちそうだ。
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