深まる溝

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「あ、俺だけど……。今、大丈夫?」 美月の声に余計に俺の緊張感が増し、微かに声が震えてしまう。 『――うん。何?』 突然の電話に驚いたのか、いつもとは少し様子がおかしい。 「あ、うん。最近、店にも来ないしどうしてるのかな?って……」 緊張のあまり、用意していたはずの言葉とは違う言葉ばかりが口から出てくる。 『ちょっと仕事が忙しくて……。――用ってコレだけ?』 やっぱり俺からの電話は迷惑だったのだろうか――少し素っ気ないような気がする。 「まぁ、それと今日、休みだからご飯でもどうかな?って思って」 ギリギリのところで踏ん張り、勇気を出して美月をご飯に誘うことができた。 美月からはすぐに返事は返ってくることはなく、暫しの沈黙が俺を襲う。 美月からの言葉を待ちながら、どこかミスったところがなかったか自分の口にした言葉を思い出す。 「無理?何か用でもあった?」 待とう、待とうって思っていたのに気が焦り、つい答えを急かす。 そして返ってきた言葉は…… 『――いいよ。どこに行けばいい?』 俺を喜ばせるものだった。 .
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