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でも多分、美月は俺と会っていたことは優弥には言っていないと思う。
それでも仲が良いせいか優弥は美月の変化に気づき、こうやって俺に探りを入れに来たのだろう。
「普通、客を追い出すようなことを言う店があるか?」
「普通、店主を酒の肴にしようとする客が居るか?」
負けじと言い返す俺に優弥が声を上げて笑った。
――どうやら図星のようだ。
美月の事を心配してきたのかとも思ったが、。本当に俺の反応を見て楽しむためだけに来たみたいだ。
「もっと他に訊きたいことや言いたいことがあるんじゃないか?」
そう思いながらも変に勘ぐりたくなる。
「いや、別に何もないよ。ただ、ちょっと気にはなっているけどな……」
優弥の言葉に肩透かしを食らったような気はしたが、何故かホッとしてしまった自分もいた。
ただ、ほんの少しでも美月の様子を知りたいと思ったが、さすがに優弥に訊くわけにもいかず、もどかしさが胸にじんわりと広がっていった。
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