165人が本棚に入れています
本棚に追加
――…
―…
優弥が店に来た数日後。
珍しい客が店のドアを開けた。
「いらっしゃい――サユさん……!?」
そう店にやって来たのはサユさん……と、その後ろには見慣れない男の人が居た。
今すぐにでも生まれるんじゃないかってくらいお腹の大きなサユさんを気遣うように手を貸している。
一瞬、誰だか分からなかったが、すぐにサユさんの旦那の佐田さんなのだと分かった。
「久しぶり、何て顔をしているのよ」
気づくと、いつの間にか俺の目の前に立っていて、小さく噴き出していた。
無意識だったが、かなり間の抜けた顔をしていたらしい。
「や、あまりに久しぶりだったから驚いて……」
慌てて平静を取り繕いながら言うとチラリとサユさんの隣に目をやる。
俺の目線にサユさんが気づくのとほぼ同時に俺と目が合った佐田さんが会釈してきた。
.
最初のコメントを投稿しよう!