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――大切なのは距離。
多分、突然の再会に溜まりに溜まっていた感情、想いが一気に溢れ出過ぎてしまった。
そして錯覚してしまったのかもしれない……今も美月の事を好きだと。
ユキと別れ、俺はあの後もう一度、冷静に考え自分を見直してみた。
普通に考えて、こんなに長い間一人の女を想い続けるなんて有りえない気がする。
その証拠に、ほら……
目の前に美月が居ても、そこまで動揺したりしていない。
妙に余裕な自分が嬉しく感じ、ついニヤケそうになる。
「衛くん……」
不意に美月が口を開き俺の名前を口にする。
――ドキン……
不覚にも胸が高鳴ってしまうが、すぐに平静を取り戻すことができた。
「――何?」
手を止めることなく、チラリと一瞬だけ目線を向け、訊き返す。
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