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「どう?ちょっとは落ち着いた?」
優子ちゃんがココアを半分くらい飲み終え、落ち着きを取り戻してきたのを見定めて声を掛ける。
「はい、ありがとうございます。ココアって久しぶりに飲んだけど美味しいですね」
余程気に入ってくれたのか本当に美味しそうに笑う優子ちゃんに「なんせ店の裏メニューだからね」と念を押してみる。
「そうでした。本当にご馳走様でした」
笑いながらいつの間にか空になったカップを俺のほうに返してきた。
「我がままついでに、もう一つお願いしてもいいですか?できればお酒じゃなくて温かいお茶ってもらえませんか?」
優子ちゃんの申し出に俺は快く受け入れる。
こんな気持ちが落ちているときにお酒を飲んだところで美味しくもないし、俺的にも飲ませたくはなく好都合なものだった。
「今さらなんですけど、この間のお願いって覚えていますか?」
突拍子も無い優子ちゃんの言葉に面食らい、そして記憶を呼び起こす。
「ああ……。この間のね」
数日前の優子ちゃんとの会話を思い出し納得する俺に
「あれ、さっきのでお願いします」
一瞬、頭の中で上手く話が繋がらなかったがすぐに理解し「了解」と笑って返す。
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