深まる溝

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ココアのおかげか、それとも泣くだけ泣いたせいか、すっかり冷静さを取り戻した優子ちゃんは10分くらいして帰って行った。 さすがに少し心配になり、「送ろうか?」と言ってみたが大丈夫だとやんわりと断られてしまった。 多分、俺に心配かけまいと平気なフリをしているだけで本当はそうじゃない。 あんなに泣くなんてよっぽどの事があったのだと思うし、簡単に立ち直ることなんてできる訳がない――多分、早く一人になりたかったんだと思う。 それが分かったからこそ、優子ちゃんを一人で帰したけど、やっぱり心配だ。 優子ちゃんの事だから自棄にはならないとは思うが、他人の心なんて誰にも分からない。自分の気持ちさえ分からない時があるくらいなのだから……。 それより、と言ったら優子ちゃんに悪いが今は優子ちゃんよりも気になっていることがある。 そう、さっき店に来て驚いて帰って行った美月のことだ。 さっきは優子ちゃんの事があったから後を追うこともできず見送ってしまったが、あの時の美月の顔を思い出すと落ち着かない。 今頃もう家かな? 時計を見てふと思うが、何て言ったらいいのか分からず電話を掛けることもできない。 というか、美月からしたらただ驚いただけで大したことではなかったのかもしれない。 そう思ったら電話なんて掛けれるわけもなく、俺はただ一人悶々と思いに耽るしかなかった。 .
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