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「神崎さん、お代わり貰ってもいいですか？」
遠慮がちな優子ちゃんの声に我に返る。
「あ、ごめん。同じのでいい？」
空のグラスを下げ謝ると優子ちゃんは笑い頷く。
客のグラスが空になっているのに気付かず、しかも客から言われるなんて最悪だ。
「どうしたんですか？珍しいですね、神崎さんがボーっとしてるなんて……」
お酒を作る俺を待ちながら優子ちゃんに心配までされてしまった。
「別に何もないよ？」
まさか優子ちゃんに美月の事を話せるわけもなく、笑って誤魔化すしかなかった。
でも、それが逆に優子ちゃんの気に留めてしまうことになってしまった。
「――もしかして私のせいですか？」
急に優子ちゃんの顔から笑みは消え、申し訳なさそうにポツリと溢す。
「え？」
「この間の事で神崎さんに変に心配かけちゃいましたよね。ちょっと色々あり過ぎてパンクしちゃったんですけど、もう大丈夫なので気にしないでくださいね」
一生懸命に笑ってみせるが、やっぱりどこか無理しているのが分かった。
「なら良かった。話ならいくらでも聞くから、あまり溜めこみ過ぎず少しずつ吐き出した方がいいよ」
でも敢えて触れず新しいカクテルを優子ちゃんの前に置き、優しい言葉を掛ける。
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