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「ありがとうございます。今度はあんな風になる前に話すので、その時はよろしくお願いします」
そう言った優子ちゃんの顔は少し吹っ切れた様にも見えた。
「次回からは是非お願いします」
だから俺もほんの少し冗談を言うことができた。
優子ちゃんも「了解しました」と笑って返してくれた。
何で優子ちゃんのことなら……
いや、美月以外のことなら分かるのに何で美月のことは分からないんだろう。
商売柄、客の微妙な顔つきや変化を敏感に読み取り、それなりに対応できるのに美月に関しては全く無理。
逆に優子ちゃんに心配をかけてしまっているなんて最悪だ。
――勇気をだして電話してみようか……
一度は思い止まったくせに、優子ちゃんを見ていてそう思ってしまった。
自分ができないことを他人には偉くさく言うなんて滑稽にもほどがある。
当たって砕けるのはいやだが、行動を起こさないと何も変わらないし、今なら……
大人になった今なら……
美月との関係を変えれるような気がした。
――優子ちゃんもあんなになるまで頑張っているのだから、俺も見習わなければって思った。
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