165人が本棚に入れています
本棚に追加
とは言ったものの、美月と俺は生活ベースが真逆状態。
開店前だと美月は仕事中だし、閉店後だと時間が遅すぎる。
相手が優弥なら時間帯も気にもならないが、美月相手にソレはできない。
さすがに仕事中に客の切れ間に電話というのもポリシーに反するし落ち着かない。
結局、悩みに悩んで出した答えが唯一、美月と時間が合う定休日の夕方。
急すぎるかもしれないが、ご飯でも誘い話を振ってみることにした。
せっかくの休みなのに朝からそのことばかり気になり、落ち着かず気が休まる事がなかった。
そして美月の仕事が終わるであろう18時少し前に時間を定め、携帯を鳴らした。
ワンコール……ツーコール……、と鳴るコール音が俺の緊張を煽る。
もしかしたら俺からの電話に出たくないのかも……、とか。
ただ単に気づいていないのかも……、とか。
本当は数秒の事なのに、もの凄く長い時間のように感じ、色んなことを考えてしまった。
『――もしもし……?』
諦めて切ろうと思った矢先、戸惑いを滲ませた小さな美月の声が届いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!