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――美月の心配?
俺には優弥の言葉の意味がよく分からなかった。
何で、これほどまでに俺に美月の事を言ってくるのか……
何で、これほどまでに俺と美月の事に口を出してくるのか……
確かに優弥とは幼馴染で美月の弟で、俺たちの事を一番近くで見ていて、誰よりも一番事情を知っている人間。
だからといって、ここまで俺たちの事に深入りしてくるのか分からなかった。
ましてや美月は俺の事を弟としてしか思っていないし、俺も美月の事が……
そう思った瞬間、昨晩の美月の顔が浮かび、また胸が痛んだ。
「俺が美月の心配をしなくても他にちゃんと心配してくれる人がいるだろ」
そう、例えば前に一度一緒に居るのを見たスーツの男とか。
「本当にそんなこと思っているのか?美月が他の誰かのモノになってもお前はいいのか!?」
俺に背を向けていた優弥が勢いよく振り返ってきたかと思うと俺の胸ぐらを掴み、背中を壁に思いっきり押し付けた。
ドン、という音と共に背中に激痛が走る。
「何をそんなに熱くなってるんだよ。本当に今日のお前、変だぞ」
あまりに切羽詰った顔で言われ心が揺らぐが平常心ならまだしも相手は酔っ払い。
変にムキになるのを止め、俺は優弥の腕を軽く外すとやんわりとかわした。
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