痛み

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瞬間、耳元でダンッという重々しい音が響く。 顔を上げると見たこともないくらい鋭い眼差しで俺を睨む優弥がいた。 「俺は昔からお前の、そのスカした顔が気にくわないんだよ!腹に溜めこまないで、ちゃんとき出せよ!もっと感情を表に出せよ!」 息つく間もないくらい激しく責め立てる。 そんな優弥の言葉にも俺は顔色一つ変えず、ただ耳だけを傾ける。 優弥には悪いが、いくら強く訴えられても俺の心には響かない。 いつの間にか…… 自分でも知らぬ間に作り上げてしまった人格。 自分さえ我慢すれば…… 少しだけ我慢すれば…… 面倒ないざこざも起きないし、事が上手くおさまる。 何より、そうしていることで無駄な他人とのかかわりを避けることができた。 「いちいち感情的になって何か良いことがあるのか?お前みたいに思っていることを何でもかんでも口にすれば良いとは限らないと思うけど」 熱くなる優弥とは対照的に、どこまでも冷静に淡々と返す。 .
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