期待と戸惑い

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――… ―… 「だっる……」 予想通り最悪な目覚めだった。 寝不足のせいか、それとも中途半端に飲んでしまったお酒のせいか、はたまた優弥とのことがあったせいか。 思い当たることがありすぎて考えただけでも頭が痛くなってしまった。 ――今日、店が休みの日で良かった。 それだけが救いで、とりあえず今日は何も考えず、ゆっくりすることにした。 でも時間はなかなか経たず、だるさだけが増してゆく。 そして、やっぱり離れてくれない美月の事。 考えないために眠ろうとも思ったが、こんな調子で眠れるわけもなく無駄に寝返りを打つだけで終わってしまった。 「タバコでも買いに行こう」 引きこもっていても気が滅入るだけだと思い直し顔だけ洗うと服はそのままで部屋を出た。 コンビニでタバコと眠気覚ましの缶コーヒーを買うと、近くの公園のベンチで暫し休憩。 の、つもりだったのに外の空気を吸い気持ちも少し晴れたのか、急な眠気に襲われ、不覚にも公園のベンチでうたた寝をしてしまった。 気づくと公園には子供連れの親子が増え、かなり場違いな感じだ。 平日の昼下がりに公園のベンチでうたた寝する男――それだけで主婦たちの噂話のかっこうの餌食で、かなり怪しげな眼で見られていた。 俺は半ば逃げるように公園を後にすると、ただ当てもなく歩き続け気づくと大通りまで出てきてしまっていた。 .
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