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何でここに?
何でそんな顔をして俺を見ている?
行き交う車の切れ間を探し、道路を横切ってくる美月の姿を目で追いながら、途切れることなく湧き出る疑問に混乱していた。
「なん……」
「大丈夫なの!?」
何でここに?――と言おうとした俺の言葉を思いっきり遮り、顔を覗き込んできた。
「何が大丈夫なんだ?」
美月の言葉に俺は全く意味が分からず、首を傾げる。
「え、だって……」
驚きと戸惑いの色を滲ませながら俺の顔をまじまじと見つめ直したかと思うと何かに気づいたで「あっ」と声を漏らした。
そして深いため息とともに脱力するように肩を落とし、軽く頭を抱えだす。
俺の事を避けていたくせに突然、目の前に遇わられたかと思うと1人で騒ぎ、そして何やら1人で納得している美月。
勝手だ、というか、どこまで俺の心を掻き乱したら気が済むのだろう。
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