147人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
いくら待っても美月の方から口を割ってくれる気配はない。
「――もしかして俺に会いに来てくれた?」
本当は美月の口からききたかったが、仕方なく確信に触れた質問を投げかけてやる。
瞬間、美月の顔が真っ赤になり、驚きと動揺に満ち溢れる。
「何で会社を休んでまで俺に会いに来てくれた?」
否定も肯定もしない美月を無視して俺は質問を続ける。
「だって、それは……。優弥が怪我させたって……」
しどろもどろになりながら俺から逃げるように椅子を後ろに引き出す。
「そんなの電話一本で済むはずだろ?俺の番号を知ってるはずだし、違う?」
逃げ腰の美月を逃がすまいと俺は意地悪なくらい鋭い言葉を投げかける。
「そうだけど……」
ほら、早く認めて?
ほら、早く言って?
ほら、早く……
完全にパニックに陥っている美月に俺の気持ちは逸る。
.
最初のコメントを投稿しよう!