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蘇る記憶とその情景。
確かに、その言葉は以前に美月の口からきいたことがある言葉だった。
でも、やっぱり俺には言っている意味が分からない。
「何が言いたいんだ?」
訊ねてみるが美月は、また口を噤んでしまった。
これではいつまで経っても出口が見えないいたちごっこで、埒が明かない。
「―――誰にでも優しくしてる覚えはないんだけど」
黙り込む美月にポツリと小さく否定してみると、美月は頑なに口を閉ざしたまま大きく首を横に振って否定する。
どうやら根本的に誤解というか、思い違いが生じているようだ。
何より俺が美月に優しくない、という部分が一番引っ掛かる。
俺にとって美月はずっと特別な存在で……
再会してから多少ぎこちなかったにしても冷たくした覚えはなかった。
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