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「ちょっと待てよ。誰が誰を嫌ってるって?いつ俺がそんなこと言った?」
あまり美月が捲くし立てるように言うものだから完全に俺の頭の中はパニックを起こしていた。
美月の口から出る言葉、出る言葉、俺には身に覚えのないものばかりで混乱せずにはいられなかった。
「それは……。でも、だってこの間……」
やっぱり肝心なところで美月は俯き口を噤んでしまう。
「この間、何?」
見えない会話。
見えない壁。
こんなに近くに居るのに、やっぱり美月との距離を感じてしまう。
あと少し……
あと少し手をのばせば届きそうな距離なのに……
その少しが今の俺たちにはすごく遠く、難しいものだった。
ただひとつだけ分かっていることは、もう逃げてはいけないということ。
ここで逃げてしまったら、もう後がないような気がした。
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