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「言えるわけないじゃない……。弟と同い年の衛くんに言えるわけないじゃない!」
美月が気にしているのは、やっぱり歳の事。
たった2つしか違わないのに昔から優弥同様、俺の事を弟として扱っていた美月には色々と抵抗があるようだ。
「そんなに俺って頼りない?」
ため息交じりに聞く。
「違う!別にそんなこと言ってない。ただ……」
「ただ何?」
間髪入れず訊き返す俺に美月は下唇を噛みしめた。
やっぱり黙りか……
「―――いいよ……。もう俺には美月の事が分からないわ」
まるで言い残すように言うと、ゆっくりと立ち上がる。
頑なな美月の態度に、もう半分自棄で、どうでもいいような気がしてきた。
「待って!」
でもそんな俺を止めるように美月が慌てて俺の手を掴んできた。
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