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「謝るって何を？別に衛くんに謝ってもらうことなんてないけど……」
俺の言葉に不思議そうに首を傾げる美月。
あまりに今更な事でピンときていないのか、それとも俺があの後の事を知らないと思ってシラをきっているのだろうか。
「優弥に聞いたんだ。俺があいつを殴った後、美月がどんな目に遇ったのか……」
俺の言葉に美月の表情が強張るがすぐに、その表情は和らぐ。
「別に衛くんが謝ることも気に病む必要もないよ。現に衛くんのおかげで私は彼と別れることができたんだもん」
相変わらず優しい美月。
酷い目に遇ったにもかかわらず俺に気を遣って無理に笑ってくれている。
でも美月のそんな態度がいつも俺を苛立たせ、そして思い知らされる。
―――美月にとって頼りない存在なのだと。
「―――衛くん？」
急に俯き黙り込む俺に美月が様子を伺うように声をかけてきた。
「―――いや、何でもない……」
喉元まで言葉が出かかったが、ギリギリのところでその言葉をのみ込んだ。
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