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それなのに美月ときたら
「何を言いかけたの?気になるじゃない」
なんて訊き返してきた。
いつもは鈍くて気づかないくせに、今日に限って敏感に俺の変化を読み取ってきた。
俺にとっては”たいしたこと”だけど……
「たいしたことないよ……」
―――美月には。
軽く笑って流そうとするが、目の前の美月は納得いかないと言った顔で俺を見ていた。
「衛くんて昔っから年下のくせに、なんてそういつも可愛げがないの?」
「は!?」
また予想外な美月の言葉に魔の抜けた声が漏れる。
―――可愛げがない?
一体、美月は何の話をしているんだ。
今の話で、どこでどうなったらそんな言葉が出てくるのんだ。
全くつじつまの合わない話の流れに俺は首を傾げるしかなかった。
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