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「言ってる意味が全く分からないんだけど……」
熱くなりだした美月に俺はわざと煽るように冷ややかに言う。
可愛げがない―――上等。
それよりも気になったのは”年下のくせに”という言葉だった。
気にし過ぎなのかもしれないけど、やっぱり歳のことを言われるのが痛い。
「今は微妙だけど同い年の優弥は衛くんとは違って可愛げあったもの」
今は微妙だけど、という言葉には笑いかけてしまったが、ギリギリのところで堪える。
「っていうか優弥は弟だろ?俺っていつから美月の弟になったの?」
「別に衛くんの事を弟だなんて言った事も、思ったこともない!」
単なる売り言葉に買い言葉だったのかもしれない。
焦った様子で慌てて否定する美月に俺はほんの少しホッとすることができた。
「本当に?」
「本当よ!だって衛くんは……」
疑い深く確認する俺に美月が前のめりで訴えかけるように答えたが、途中で我に返ったように勢い任せに口にしたらしい言葉をのみ込んだ。
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