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細く小さな美月の手から伝わる温もりに、何とも言えない感情が込み上げてくる。
この手を握り返してもいいんだ……
ずっと手を伸ばしても届かなかったものが今はこうして手の中にある。
美月の周りには俺よりも、もっと良い相手はいっぱいいるはず。
それなのに本当に俺でいいんだろうか……
喜びと共に押し寄せてくる一抹の不安。
そんな俺の気持ちを察したのか俺の手を握る美月の手に力がこもる。
その力に顔を上げ美月を見ると、さっきとは打って変わって嬉しそうに笑う美月が居た。
それがすごく嬉しくて……
俺で良いのだと美月の笑顔が教えてくれた。
「長い間、待たせてごめん。そして、ずっと待っていてくれてありがとう」
自然と出てくる言葉と涙。
格好悪いと分かっているのに涙を止めることができなかった。
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