痛み

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久しぶりに優弥と肩を並べ飲む酒は、すごく不思議な感じだった。 喋らない俺も俺だが、優弥も優弥で自分から飲もうと誘ったくせに黙りをき決め込んだまま前を向いてチビチビとお酒を飲み続けている。 「お代わり」 そしてやっと口を開いたかと思うと、このセリフ。 せっかくカウンターから出てきたのに俺はすぐに中へと後戻りで、いつものように酒を作る。 「どーぞ」 ワザと大きめの声で言うと造った酒を優弥の前に置いた。 優弥はフッと不敵な笑みを漏らし受け取ると、すぐさまグラスに口を付け飲みだす。 俺は優弥が一体何を考え、何をしに店に来たのか分からなかった。 ただ飲みに来た――という風にはどうしても思えない。 となると、また美月絡みな気もするが、それなら何故いつものようにさっさと本題に入らないのだろう。 「言いたいことがあるなら、はっきり言えよ。どうせ美月の事だろ?」 喉の奥に魚の骨でも刺さったようなスッキリしない優弥の態度にヤキモキする。 「どうしてそう思う?何か言われるような覚えがあるのか?」 手に持っていたグラスをテーブルに置くと、やっと俺の方に視線を移してきた。 ――覚え? ”ある”と言ったらあるのだろうが、”ない”と言ったらない気がする。 昨日の美月の反応は俺にとっても理解不能で、原因が俺にあるのかさえ分からなかった。 ただ分かるのは昨日の美月は”普通”ではなかったということだけだった。 .
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