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――…
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「で、本当のところどうなんだ?」
だいぶ酒がまわってきたのかカウンターにうつ伏せ気味に俺に目配せしてきた。
「どう、とは?」
わざと素っ気なく答え、興味なさそうに携帯を弄る。
「分かってるくせに。一体いつまで、そうやって現実から目を背け続けるんだ?」
俺の手から携帯を取り上げ、勝手に閉じた。
「言っている意味が分からない。酔ってるのか?タクシー呼んでやるから帰れよ」
止むことのない優弥の問い詰めに嫌気がさし、帰るよう促す。
気のせいだ……
気のせいなんだ……
優弥の言葉にグラつく気持ちを必死に抑え込み、自分に言い聞かせる。
「そんなに酔ってねーよ。俺を酔っ払いにでっち上げて誤魔化そうとするってことは、そうせざるを得ない理由があるって解釈するからな」
誤魔化そうとすればするほど、ドツボにハマってゆくとはこういうことをいうのだろう。
優弥相手に誤魔化しなんて通じないと分かってたのに、誤魔化しとおそうと試みたことに後悔の念を覚えた。
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