366人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
まるで女として扱われていないようにさえ感じてしまう。
でも少し冷静になれば分かる。
こんなことをして衛くんの気を引こうなんて馬鹿げているということくらい。
素直に言えばいいのに。
―――ちゃんと私を見て、って……
口に出して言わなければ何も進まないし解決もしないって嫌というほど思い知ったくせに
私ってどこまでも憶病で卑怯なんだろう……
トントン、と軽くドアがノックされ、「入るよ」と衛くんの小さな声が聞こえた。
私は咄嗟にドアに背を向けソファーに寝転ぶ。
ゆっくりとドアが開く音がして、見てなくても衛くんの気配が近づいてくるのが分かる。
「美月、寝てるのか？」
しゃがんだろうか、衛くんの声が一気に近くなる。
.
最初のコメントを投稿しよう！