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「…月。―――美月……」
軽く肩を揺さぶられ意識を呼び起こされた。
「ん……。あれ、私……」
眠るつもりなんてなかったのに、いつの間にか寝てしまっていたようだ。
「大丈夫か?」
「うん。今、何時?」
ゆっくりと起き上がり室内の時計を探す。
「零時を少し回ったくらい。悪い、もう少し早く切り上げるつもりだったんだけど……」
衛くんは謝るけど、いつもよりも早く店を閉めてくれているってことは私にも分かっていた。
「ううん、ごめんね。迷惑かけて。もう1人でも帰れるから……」
無茶な飲み方をして酔ったフリまでしたくせに、今更、迷惑を掛けたくないなんて虫が良いにも程がある。
でも勢いよく立ち上がった途端、急にめまいのようなものを感じ、すぐにソファーへと後戻りすることになってしまった。
どうやら時間が経ち、酔ったフリだったはずが、本当に酔いがまわってきてしまったようだ。
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