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「ごめん。衛くん気持ち悪いかも……」
わざとらしいかもしれないけど手で口を押え俯く。
私なりの精いっぱいの迫真の演技、のつもり。
「え!?大丈夫か?すみません、停めて下さい!」
私の身体を支え、慌てて運転手さんに声を掛け、タクシーを停めてくれた。
そして私を気遣いながらタクシーからゆっくりと降ろすと、近くにあったベンチへと導いてくれた。
「ごめん、ごめんね……」
違う意味で申し訳なくて……
後ろめたくて……
衛くんに謝り続ける。
「いいって。それよりも大丈夫か?水でも買ってこようか?―――それとも……」
頻りに心配そうに訊いてくる衛くんの言葉が不自然なくらい途中で途絶える。
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