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「タクシーは?」
「帰した……」
―――だよな……
家の辺りは当然のことながらタクシーが通るような場所ではない。
とはいえ、時間も時間で人通りも少なく美月に歩いてタクシーを捕まえれるところまで行くようにとも言えない。
俺が美月を迎えに行くのが一番、安全だし良い事だとは思うが、それでは美月を寒空の下で相当待たせることになってしまう。
こう悩んでいる間も時間が惜しい……
でも一番の解決策が思い浮かばなくて、もどかしさが募る。
「―――衛くん?」
黙り込む俺に美月が不思議そうに名前を呼ぶ。
「ああ、ごめん。分かった。今、タクシー会社に電話して向かわせるから、待ってて」
それだけ言うと一方的に電話を切り、近くのタクシー会社を調べる。
でもタクシー会社の番号が画面に表示されたのと同時に携帯が震えだす。
タイミングが良いというか、悪いというか……
「ユキ?」
そこに映し出されたのはユキの名前だった。
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