みつき

21/40

366人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「タクシーは?」 「帰した……」 ―――だよな…… 家の辺りは当然のことながらタクシーが通るような場所ではない。 とはいえ、時間も時間で人通りも少なく美月に歩いてタクシーを捕まえれるところまで行くようにとも言えない。 俺が美月を迎えに行くのが一番、安全だし良い事だとは思うが、それでは美月を寒空の下で相当待たせることになってしまう。 こう悩んでいる間も時間が惜しい…… でも一番の解決策が思い浮かばなくて、もどかしさが募る。 「―――衛くん?」 黙り込む俺に美月が不思議そうに名前を呼ぶ。 「ああ、ごめん。分かった。今、タクシー会社に電話して向かわせるから、待ってて」 それだけ言うと一方的に電話を切り、近くのタクシー会社を調べる。 でもタクシー会社の番号が画面に表示されたのと同時に携帯が震えだす。 タイミングが良いというか、悪いというか…… 「ユキ?」 そこに映し出されたのはユキの名前だった。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加