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出ようか……
それとも出ないでおこうか……
迷う俺をよそにユキからの電話はしつこく鳴り続ける。
―――こんなことで時間を無駄にしている場合じゃないのに……
脳裏を横切るのは美月の事。
俺は諦め、半ば自棄になった感じで軽く舌打ちをするとユキからの電話に出た。
「はい」
『店が閉まってるんだけど、なんかあったのか?』
電話に出た途端、間髪入れずユキの声が耳に飛び込んできた。
―――よりによって何でこんな日に……
サキちゃんの妊娠が分かってから、サキちゃんが羨ましがるからと言って店の方には、あまり顔を出さなくなっていたユキ。
それなのに何で平日から……
よりによって店を早く締めた日に限って着たりするんだろう……
―――間が悪いにも程がある。
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