366人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「今日は客足が少なかったし、ちょっと用があったから早めに閉めたんだ」
あながち嘘を言っているわけじゃない。
『ふーん。ま、じゃあ帰るわ』
珍しく変な勘ぐりも入れられることなく、納得してくれたようだ。
「ああ、悪いな。また来てくれ……」
そう言って電話を切ろうと思った。
でも、すぐに思い直し
「ユキ!」
電話を切られまいと、慌ててユキの名前を呼んだ。
『―――あ?』
かろうじて電話は切られずに済んだ。
「今、店の前に居るって言ったよな」
『ああ。今、駐車場に向かおうとしてるけど……。それがどうかしたか?』
「あ、うん……」
俺は迷っていた―――ユキに美月のことを頼んでいいものかを……
.
最初のコメントを投稿しよう!