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「あー、言っていいのかな。こんな事……」
動揺しているのを悟られないようにしていたつもりだったが、どうやら男にはばれてしまったようだ。
―――こんな事?
渋る男の様子に興味が沸く。
「初めて俺が神崎と会ったのは大学生の頃」
やや背け気味だった身体を男の方に向けると男は、ゆっくりと話しだした。
衛くんと初めて会った日の事。
印象が最悪だったこと。
そしてバイトを始めたときの衛くんとの事。
訊くことすべてが私の知らない時間で、すごくドキドキした。
生まれたころからずっと一緒に居たはずなのに、私以上に衛くんを知っている人だと思った。
羨ましい反面、少し妬ましくも思ってしまったのは内緒。
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