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会話が途切れ、また車内が静寂に包まれる。
やっぱり初対面の人と二人きりって苦手。
早く着かないかな……
間が持たず、また視線を窓の外に向ける私の手の中で携帯が震える。
突然の事に驚き携帯を落してしまい焦る私に
「多分、神崎だろうな」
男は笑いながら携帯を拾ってくれた。
「ありがとうございます」
恥ずかしさで顔を熱くしながら携帯を受け取ろうと手を伸ばす。
瞬間、手のひらに感じたのは携帯ではなく、違う感触。
その感触が私の手を握る男の手だと気づくのに時間は掛からなかった。
「え?ちょっ……」
慌てふためく私に無言で手を更に握りしめてくる。
衛くんの友達だって聞いたから信用もしたし、車にも乗ったのに……
突然の事に混乱した私の脳裏に色んなことが掛け捲ってゆく。
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