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男の呆れた声の先には暗闇に立つ衛くんの姿があった。
衛くんの姿にホッとしたけど、今はそれよりも気になることがあった。
「あの……、私は衛くんの隣に居ても良いと思いますか?」
「え?」
突然の私の問いに驚きの声を漏らしたのと同時に車が停まった。
「どうして、そんなことを俺に聞くんですか?」
でもすぐに私の質問の意図が分からないと言った感じに訊き返してきた。
「それは……」
私が男の質問に答えようとした矢先、コンコンと窓をノックする音が聞こえてきた。
「神崎が心配してますよ?」
男の目配せに窓の方に目を向けると、衛くんは身をかがめ中を覗きこんできていた。
降りなきゃ、という気持ちと。
答えを知りたい、という気持ちが交差する。
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