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私は……
私たちは男の車を暫く見送った。
エンジン音が遠退いていくと辺りには静寂が訪れる。
背後に衛くんの視線を感じつつも、私はなかなか振り向けずにいた。
「―――寒いし、とりあえず中に入ろうか」
沈黙を破ったのは衛くんで、私の返事も聞かずにマンションの方へと歩きだしてゆくのを感じ、私はやっと振り返り衛くんの後を追うように着いていった。
「入って。今、エアコン入れるから」
そして、衛くんに促され、これで2度目となる衛くんの部屋へと足を踏み入れた。
「寒かっただろ?適当に座っててコーヒーでも淹れるから」
「ありがとう」
お礼を言うと、慌ただしく動く衛くんの邪魔にならないよう部屋の隅の方に腰を下ろした。
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