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「あ、雪だ。寒いと思った。」
ゼロが空を見上げて呟いた。
…本当だ。白い綺麗な結晶が、ヒラヒラと舞い降りてくる。
ぼくはすっかり嬉しくなって、思わず駆け出してしまった。
「わ!ユキ!待って、迷子になっちゃうよ!」
後ろから走ってきたゼロに、がっちり捕まえられちゃったけど…。
「嬉しくなっちゃって…ごめんなさい。」
素直に謝ったら、ゼロは「やっぱりワンちゃんは雪が降ると庭駆け回っちゃうんだな~」と笑っている。
ぼく、犬じゃないんだけどなぁ。
一応、幻狼っていう、すっごく強くて、よく怖がられる種族だ。
ぼくはまだ子供だから、皆から抱っこされたり撫で撫でされたり、確かにほとんど子犬みたいな扱いだけど。
ちぇっ…早く大きくなって、カッコイイ狼になりたいなぁ…。早くゼロの役に立ちたいのにな…。
僕は、空を見上げるゼロを見ながら、そっとため息をついた。
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