別冊ゼロのダンジョン

雪降る街で

ゼロはダンジョンマスターだ。
そして、ちょっと変わったマスターだと思う。

普通ならダンジョンは、街からほどほどに離れた森や草原、岩場に作るのに、ゼロはなんと街のど真ん中に作ってしまった。

しかも、冒険者達で溢れかえる、冒険者ギルドの地下に作られてるんだよね。

そこで冒険者達を鍛えてあげるのが、ぼく達のお仕事だ。

普通はダンジョンに攻略にくる冒険者達と殺したり殺されたりの、命がけの闘いがあるのが普通なのに、ぼく達は真逆の事をやっている。

もちろんぼくも、ゼロに召喚されたダンジョンモンスター。

だから、いつだってゼロの役に立ちたいと思ってるけど…未だに戦った事すらない。

ダンジョンの暮らしは楽しいけど、僕ももう少し役に立てたらな…って、この頃よく思うんだ。

空を見上げるゼロは、なんだか寂しそうで、ぼくは思わず声をかけた。