繁盛しない喫茶店

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僕は車を路肩に停めて降りて近づいてみることにした。 よく見ると へこみの内側に向かってスポットライトが店を照らすように光っていた。 その明かりが無ければ気付かずに通り過ぎていただろう。 いや。 ライトに照らされていても、こんなカーブの内側じゃ、ほとんど気付かないかも知れない。 気付いたとしても、わざわざバックして戻るようなヤツは俺くらいか…。 窓ガラス越しに店内を見ると明かりがついている。 営業してるのか? 先ほどから、コーヒーを1杯飲みたかった欲求があったところに喫茶店…。 極めて怪しいこの喫茶店に入るかどうかしばらく迷った。 そして。 まあ、別にとって食われる事は無いだろうと腹をくくり、店に入ってみることにした。 カラン カラーン 昔ながらの喫茶店によくある、あのドアベルが鳴る。 「いらっしゃいませ。 お待ちしておりました。」 カウンターの内側には執事のような、実にキリッとした雰囲気のマスターらしき男が立っていた。 見た感じは50歳くらいで、とても雰囲気の良い印象だ。
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