271人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
始業中のオフィス。
朝から週明けの忙しさに見舞われている社内とは打って変わって、まるで周りの人間が目に入らないかのように、相変わらず静かにパソコンと向き合っている浩巳の姿を、大地は遠目から眺めていた。
あれから一週間、相変わらず浩巳は何事もなかったかのように仕事をしている。
まるで自分との間にあった出来事など無かったかのように過ごす浩巳の姿に、もどかしさを感じていた。
浩巳にとって、他人と身体を繋げることなど大した行為ではなかったのだろうか。
普段の彼を見ている限り、そんな乱れた生活を送っているとは到底思えない。
それとも買いかぶり過ぎか?
真面目で大人しそうに見えて、実は経験が豊なのではないかと。
一つの疑問が浮かび上がった。
浩巳にとって、男と寝ることは初めてではなかったのではないか。
あの容姿だ、自分がそうだったように、彼の素顔に気付き、変な気を起こした奴が一人、二人いても可笑しくない。
最初のコメントを投稿しよう!